【ビジネスキーワード】パーパスとは何か?【具体的な意味や事例を解説】

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ねこ
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最近、仕事でパーパスって聞くけどどういう意味?

こんにちは!くまねこ(@kumablo_life)です。

最近、ビジネスの場でパーパスという言葉を耳にする機会が増えたのではないかと思います。「パーパス経営」「パーパスドリブン」など、ぼくの周りでも口にする人がとても多くなりました。

「でも、なんとなく意味は知っているけど、いまいち理解できていないなぁ」なんていう人も少なくないのではないかと思います。「パーパス」についてはさまざまな書籍も出ていますが、なかなか忙しくて本を読んでる暇なんてないですよね。

そんな方のためにこちらの記事ではパーパスについて基本的な意味から具体的な事例まで解説していきます。

パーパスとは何か?

パーパス(purpose)」とは、もともとは「目的」や「意図」といった意味で使われますが最近ビジネスシーンで使われる意味としては「企業の存在意義」を指しています。これまでの企業では利益中心の考え方が普通でしたが、企業が社会に対して与える影響が大きくなる昨今では「社会善」中心の考え方に移行しつつあります。

この社会善を根幹として、事業や組織のあり方(意義)を問い、その答えとして掲げられるものがパーパスとなります。

「なぜ、我々(企業)が社会に存在するのか?」

これがパーパスとしての大前提の考え方ですが、企業理念やCSRといった活動とどのように違うのでしょうか。

この点について、もう少し詳しく掘り下げていきましょう。

パーパスとはWhyを起点に考える

パーパスの大きな特徴は、「Why(なぜ)」を起点にして考えられていることです。

社会善を前提とすると企業理念の基本構造の1つである「ミッション」もパーパスと似ています。しかし、ビジョンに対する行動を示す「ミッション」は「How(どのように)」を基点としており、ここが大きな違いとなります。

例を挙げてわかりやすく見てましょう。

例1<Howを基点とした場合>
「多くの子どもたちを幸せにするため、安価で良質な玩具を提供します」

例2<Whyを基点とした場合>
「全ての子どもたちを幸せにしたい」

例1のように「How」を基点として考える場合、メッセージの向けられる先は外部のステークホルダー(消費者・投資家など)になります。掲げられた手法(How)が限定されてしまい、活動の幅を狭めてしまいます。

一方、例2のように「Why」を基点として考えた場合、外部のステークホルダーのみならず、内部のステークホルダー(従業員)も巻き込むことになります。このWhyを基点として、Howが考えられるため、幅広い活動ができます。

パーパスは外部のステークホルダーだけでなく、内部も含め、あらゆるステークホルダーに対し意義を理解してもらう必要があり、Whyを基点に考えることはとても重要なことなのです。

パーパスと企業理念の違い

パーパスの図解

企業理念の基本構造はミッション・ビジョン・バリューから構成されています。ピラミッドで表すと、まず根底に行動指針となるバリューがあり、中段に経営方針となるビジョンがあります。そして、その上位に企業の使命たるミッションがあるわけですが、このミッションとパーパスはよく似ています。

ミッションの中でも社会を強く意識したものがパーパスと呼ばれるものです。つまり、企業理念のうち、ミッションのさらに上位にあるものが「パーパス」というわけです。

パーパスとCSR(企業の社会的責任)の関係性

CSRとパーパスの違い

CSRとは企業が組織活動を行うにあたって負わなければならない社会的責任のことです。あらゆるステークホルダー(消費者、投資家、地域社会などの利害関係者)に対して負うべき責任であり、法令遵守はもとより社会貢献活動なども含まれます。

CSRを語るうえで昨今、パーパスという言葉も聞かれるようになりました。確かに「社会に対する企業の意義」という点だけでみると、パーパスとCSRは非常によく似ています。しかし、CSRが「社会に対する責任として企業が行使すべき意思決定」であるのに対し、パーパスは企業が「社会に対してどうありたいか」を示すものです。

たとえば、ある企業が「世界中の人々を幸せにしたい」というパーパスを掲げているとします。そのために、その企業が何をしたのか、その具体的な行動がCSRということになります。

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パーパスの派生語

パーパスはビジネスシーンにおいて色々な使われ方をします。その具体例・意味をいくつか見ていきましょう。

パーパスブランディング

パーパスブランディングとはパーパスを社内外に広く認知してもらうことにより、ブランド価値を高めることを言います。通常ブランディングとは社外にいる消費者に向けて価値を提供することで、企業のブランドを高めていくことでしたが、パーパスブランディングでは社内も対象にしています。

パーパスを消費者に共感してもらうことで事業としてのブランド価値を、従業員に深く理解してもらうことで社内エンゲージメントを高め、総じて企業のブランド力を高めていこうというブランディング手法のことを言います。

パーパス・ドリブン

パーパス・ドリブンとは、パーパスを基軸とした考え方であり、全てのアクションに対し、パーパスに沿っているかどうかを判断する思考のことを言います。顧客やデータを基軸に考えるのではなく、社会的意義や他者貢献を基軸として考え、事業を円滑に進める戦略のことです。

社会を基軸としているので、かつての近江商人の教えである「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」にも通じるところがあります。

なぜパーパスが必要なのか?

なぜ、今「パーパス」が声高に叫ばれるようになったのでしょうか。それには要因として、3つの時代背景が挙げられます。

VUCA(ブーカ)から見えたステークホルダー資本主義

VUCA(ブーカ)とは、それぞれVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)から頭文字を取った言葉です。「将来を見通すことが困難な状況」のことを指します。

新型コロナウィルスが感染拡大しているこの状況は、まさにVUCAの時代と言えるでしょう。未来は常に不安要素を抱え、日常は大きな変化を余儀なくされました。

このような状況の中でこれまでのような利益ばかりを追求した株主資本主義を前提としたビジネスモデルは立ちゆかなくなり、新たな変革が求められました。顧客や株主だけの目線に立つのではなく、ありとあらゆる利害関係者(ステークホルダー)と協調していくこと、このステークホルダー資本主義の前提にあるものが「パーパス」というわけです。

SDGs(エスディージーズ)とESG投資

パーパスを語るうえで欠かすことのできない大きな要因がSDGs(エスディージーズ)の設定です。SDGsとは2030年までに世界がクリアすべき課題として設定された「持続可能の開発目標」のことです。サスティナビリティだけにとどまらず、格差の解消から気候変動への対処まで、多岐にわたる17の目標が設定されています。

このSDGsが採択された2015年に、日本では責任投資原則(PRI)に年金積立金管理運用独立行政法人が署名したことを皮切りに大手生命保険会社、投資信託会社などもPRIに賛同しました。このPRIはESGの起点となるもので、2006年に当時の国連事務総長であったコフィー・アナン氏が「投資家が取るべき行動」として打ち出したものです。

PRIは下記の通り、6つの原則によって構成されています。

責任投資原則

①私たちは投資分析と意思決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。

②私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。

③私たちは投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。

④私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。 

⑤私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。

⑥私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。

責任投資原則より引用

ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」の頭文字をとった言葉で、PRIでは「ESGを課題とした投資」が提唱されています。環境や社会に配慮した投資をすることを宣言しているわけです。

SDGsとESGの浸透により、企業の価値も利益だけにとどまらず、いかに社会に貢献しているのか、その意義が問われるようになり、「パーパス」が注目されるに至りました

ダイバーシティ(多様性)の時代

2025年以降、ミレニアル世代(1980年代以降に生まれた世代)が労働力人口の半数を超える割合になると言われいる中、これまでの終身雇用や新卒一括採用といった価値観は崩れ去りつつあります。

ミレニアル世代の特徴としては、多様性や個性を重視する傾向にあるため、決して連帯することがなくそれぞれがそれぞれの価値観のもとに別の方向を向いています。よって、単純に利益追求していればいいというこれまでの企業の在り方では、これらの世代をまとめることはできなくなっています。

そうした状況の中で、社会という企業よりも大きな枠組みに意識を向ける「パーパス」は、それぞれの従業員たちの多様な価値観を包摂しながら同一の方向性を持たせるには有効だったというわけです。

パーパスの導入事例

パーパスを導入している企業としてはいくつかの有名企業がいるので、その実例を紹介していきます。

パタゴニアのパーパス導入事例

パタゴニアは一企業として、地球上の全ての生物が絶滅の危機に瀕しているという事実を重く見ています。この問題に対して行動を起こすために、私たちが現在持っている資源、すなわち当社のビジネス、投資、発言力および想像力を行使しています。

パタゴニア公式HPより抜粋

パタゴニアといえば、言わずと知れた老舗のアウトドアウェアのブランドで、もともと環境保全に力も入れてきたグリーンビジネスの先駆者です。パタゴニアの企業理念は2019年に一新されたことは知っている人も多いのではないかと思います。

「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」

地球を救うためという途方もない理想が掲げられていますが、冒頭でも説明したとおり、Whyを基点とした理念となっているのがわかるかと思います。

パタゴニアはこの理念をもとに、たくさんの慈善活動や社会的に意義のあるビジネスを展開しています。

●1% for the Planet

パタゴニアは自然環境の保護や修復のため、売上の1%を利用することを掲げ、1億4000万ドル以上の寄付を環境保護団体に行っています。

●Worn Wearプロジェクト

元社長兼CEOのローズ・マーカリオが「修理は急進的な行為」と言っているように、パタゴニアはウェアを修理して少しでも長く使ってもらうことを推奨しています。消費を抑え、修理をして長く使ってもらうことで排出炭素、ウォーターフットプリント(消費する過程で使用される水の消費量)を抑えることができます。

渋谷でもWorn Wearのポップアップストアが展開され、とても話題になったのでご存知の方も多いかと思います。

NIKEのパーパス導入事例

NIKEといえば言わずと知れた世界に誇るスポーツウェアブランドであり、「Just Do it」のタグラインでも有名です。この「Just Do it」の誕生30周年を記念した「Dream Crazy」キャンペーンでNIKEは驚くべき行動に出ました。

2016年、NFL選手のコリン・キャパニックが試合前の米国国歌が流されている間、警察の黒人射殺事件や人種差別に対し、膝をついた姿勢で抗議行動を取りました。これに対し、トランプ大統領がツイッターでキャパニック選手を非難し、そのためNFLもキャパニックの抗議行動に反対を表明し、キャパニックはチームとの契約を結べないまま事実上の解雇となってしまいます。

しかし、2019年、NIKEは「Dream Crazy」キャンペーンでキャパニック選手を起用し、自社ビルの上に彼の顔を全面にした広告を掲出します。そこには「Believe in something. Even if it means sacrificing everything.(何かを信じろ。たとえそれが全てを犠牲にすることであっても)」のスローガンも一緒に掲げられました。

2013年より急速に波及したBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)運動に連動した形とも取れます。NIKEのこの一連の行動に、そのほかの有名ブランドも賛同し、人種差別に対して抗議の姿勢をとっています。

NIKEはこの「Dream Crazy」キャンペーンで株価の過去最高値を更新しています。「販売」という伝統的なマーケティングだけではなく、パーパスというものが企業にとっていかに重要なものなのかを示した事例と言えます。

まとめ

このようにパーパスについて解説してきましたが、パーパスで一番重要なのは意義を掲げるということではありません。ビジネスに実装されてこそ、パーパスは真価を発揮します。その事業が社会において本当に意義があるのかを考えることであり、うわべだけのパーパスでは意味がありません。これから起業を考えている方はぜひ社会に向けて、事業の存在意義を問うてみてください。

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